リフレインホラー小説
『九月に蝶の血は凍る』
【あらすじ】 目が覚めた時、宇佐見蓮子は奇怪な部屋にいた。 窓のない、矩形の部屋。 真ん中に置かれた、ゼネバ機構の映写機。 女が語る。 ねぇ、貴女、他人の夢は酷く退屈だけれどもばらばらになった、其の夢を繋ぎ合わせて何か意味を見出そうと思いますの だから 映写機が廻る 【黒い蝶】 瞳が震えている。 瞳が、発狂して、 止まってくれない。 浴槽に満ちた、赤い水。 「ねぇ、貴女の食べている、 其れは、私?」 【白い蝶】 純粋階段。 存在している、それ以上の意味などない。 アイス・ピールに満ちた氷。 「何か、氷が落ちてきたみたい」 【赤い蝶】 水没した廃駅。 口の中に満ちていく、 羽化不全の芋虫。 蝶が咲く。 顔の全てを、食い散らかしながら。 「メリーはいない。だって、私が殺したんだから」 【青い蝶】 赤い水槽。 人形が浸された、 溶け朽ちた わたし/あのこで満ちた。 青い蝶が導く先。 私は、誰だ。 恋人たちの花。 「私の呼吸が止まると、其れが貴方の呼吸の始まり」 フィルムが廻る。 フィルムが廻る。 「さぁ、退屈な夢の話をしましょうか」